ワミノヤチ自然園シリーズ 8

当ブログのワミノヤチ自然園シリーズ7でお知らせした、中山先生とのワミノヤチ自然園植物調査と観察会を開催しました。多方面から約30名が参加し、植物の専門家、中山先生からワミノヤチ自然園と植物について説明解説をしていただきました。その内容をお知らせいたします。

                      平成23年9月30日

   ワミノヤチ自然園植物調査と観察会の概要

日時 平成23年9月30日(金)9:00〜11:45
場所 ワミノヤチ自然園をグランド西側から入り、山裾を一周
講師 中山 洌 先生(佐久市)、助手 篠原富和氏
参加者 小海町文化財調査委員、小海フィンランド協会、小海町の花と緑を美しくする会、町会議員、小海町、佐久市の皆さん等合計約30名

調査・観察会の概要
はじめに町営駐車場で中山先生の挨拶、参加者の自己紹介
その後、町営総合グランド駐車場へ移動しワミノヤチへ入る。

中山先生の説明・解説
① ハンノキ林は湿地の平坦な場所にできるので、田んぼにするには最適の場所であり、長野県内でもほとんどのハンノキ林は開発されてしまい、ワミノヤチのように平坦な湿地にこのように多くのハンノキが群生しているところは他には見当たらず、大変貴重な場所である。
② ヌマガヤは通常ハンノキ林の中には育たないが、ワミノヤチのハンノキ林は適度に空間がありヌマガヤの群生地が形成されたと考えられ、その意味でも大変珍しい植生であり絶滅危惧群生地とするに値するものである。
③ 湿地が乾燥してくると、ズミ(コナシ)やオニグルミが出てくるので、それらの木が育っているところは乾燥化の印です。
④ ワミノヤチの湧水が湿地全体へ浸透して行くような形態が理想的で、掘割のようにして流すことは望ましくないので、湧水の流れをうまく湿地帯全体へ行きわたるような工夫をすることが、貴重な湿地帯を守るため不可欠であると考えます。
⑤ 長野県のレッド・データ・リスト作成時のころと比較して若干乾燥化が進行しているように見受けられるが、湿地帯の基本的な用件は保たれており、その結果、ハンノキーヌマガヤ群生地が形成され、長野県ではワミノヤチのみと考えられ、絶滅危惧群生地の総合評価Bとあるように、是非とも保全し後世へ残して欲しい貴重かつ大切な自然だと考えます。
⑥ ワミノヤチ自然園を一周して見て、湿地帯を形成するための最も重要な湧水が山裾の至る所から出ており、これがハンノキーヌマガヤ群生地を形成する理想的な自然環境と考えられる。
湿地帯で観察した植物:
ハンノキ・カサスゲ・オタカラコウマムシグサ・チドリノキ(カエデ科)・ニッコウザサ・フタリシズカ・アブラガヤ・ヌマガヤ・ネコノメソウ・ツクバトリカブト・コマユミ・ノガリヤス・ハネガヤ・タニヘゴ・ヤブテマリ・フシグロセンノウ・アケボノソウ・ヤチボウズ(オオアゼスゲ)・アズマヤマアザミ・メギ・ズミ・カラコギカエデ・ミヤマイボタ・ヒョウタンボク・オニグルミ・サワグルミ・クララ・クロウメモドキ・ミズキ・サワシバ・ハナビガヤ・ナガミノツルキケマン・ミゾソバ・ケハンノキ・イ・カンボク
などでしたが、他にも聞きもらした植物が多数あったように思います。それぞれの植物について、わかりやすく説明していただき、ふだん、ただ眺めて美しいと思っていた花や実がいろいろな特徴を持っていることに驚き、あっという間の2時間半でした。
集合場所の町営駐車場で挨拶をする中山洌先生(右から2番目)と参加者の皆さん

町営グランドへ集合した皆さんと合流

ワミノヤチ自然園へ移動、先頭が中山先生

植物の説明を聞く皆さん



ハンノキ林を眺める

ヌマガヤの穂

ツクバトリカブト

ワミノヤチ自然園内の小川



クララ

カンボク