ワミノヤチ自然園シリーズ4

長野県小海町松原湖高原の「ワミノヤチ自然園」の実質的な所有者、松原区の区長、副区長、会計、組長さんなど執行部の皆さんと「ワミノヤチ自然園」の埋め立てについて意見交換会を開催しました。意見交換会の詳細は下記のとおりですが、明確な目的、利用計画が存在しない中で、とにかく千載一遇のチャンスだから埋め立てて、あとで利用計画については考えようという方針は理解が困難であります。要請側の一致した意見は一度貴重な沼沢林の自然を破壊すれば、回復するためには100年、200年のあるいは永久に原状復帰は出来ないので慎重に考えてほしいということでした。

以下は、松原区執行部との意見交換会のメモです。

平成23年8月19日

ワミノヤチ自然園の埋め立てについて松原区との意見交換会概要

日時:平成23年8月19日19:00〜20:00
場所:松原区集会所
参加者:
 松原区 区長、副区長、会計、組長(1名欠席)
 要望者 宿岩善人、篠原栄偉、篠原富和、小池民夫

意見交換の概要
要望者
ワミノヤチ自然園について、沼沢林としては県内有数であり、絶滅危惧群落にも指定されており、生物多様性の観点からも豊かな自然であります。平成21年4月に景観育成住民協定を当時の村井知事から認定していただき、さらに松原湖周辺の景観を維持向上されるよう要望が出されております。このような観点からもワミノヤチ自然園は重要な位置を占めております。町の文化財調査委員会としても予てよりワミノヤチ自然園については関心を持って来ており、絶滅危惧群落の存在も明らかになり、ますます後世へ残して欲しい場所です。以前桟橋を作り自然園として多くの皆さんに見てもらいましたが、現在もこの考え方は変わっておりません。一度自然を破壊しますと回復させるには100年、200年の歳月を要します。やはり、ワミノヤチ自然園は今のまま保全することが将来にとっても、後世にとっても大変重要かつ意味のあることだと思います。ワミノヤチ自然園は松原区の所有ではありますが、小海町、長野県しいては日本の貴重な自然でありますので、何とか埋め立てを実施せず残し保全していただきますよう強く要請いたします。
松原湖周辺は植物学者から大変注目されており、著名な学者が数多く訪れております。シナノアキギリをはじめマツバラソウなどがあります。また、過日来訪された小石川植物園の木内先生はワミノヤチ自然園を視察し、素晴らしい自然だと感想を述べ感銘を受けたようです。ワミノヤチ自然園には植物以外にも鷲鷹科のノスリも営巣しており大変貴重な自然です。日本野鳥の会の皆さんも注目に値する場所であると思います。
副区長
我々は60代であり、あと生きながらえても2,30年です。ワミノヤチ自然園は草ぼうぼうで管理できない土地です。急に今になって貴重な自然だと言われても納得できない。なぜ、10年、20年前に貴重だと言わなかったのか。区の執行部としては、ワミノヤチ自然園を埋め立てて、それを後世に残したい。
組長
野鳥の会」云々は我々に対する牽制だと思う。自然を大切にしようということはわかるは、私は植物には興味がない。埋め立てをいまから5年後、10年後にやろうとしてもできないだろう。埋め立てに対する皆さんの意見も一理あるが、我々は将来の岐路に立っている。今埋め立てないと後々後悔することになる。我々は今間違った判断は許されない。
区長
埋め立てた土地は区で責任を持って管理する。
要望者
埋め立てた土地はどのような利用計画があるのですか。
区長・副区長
とにかく埋め立てて、利用方法についてはその後考えればよい。埋め立てることが先決だ。今が絶好のチャンスだと考える。
組長
松原区にとってワミノヤチ自然園は手がつけられない所だった。区にはもう土地がない。いままで手を付けるところ、守る所と分けてうまくやってきた。ワミノヤチ自然園は手を入れて区の利益になる方向で従前から定められている。
要望者
現在の町営グランドはフルに活用されてはいないと思います。野辺山の村営グランドは全天候型で利用価値が高い。ワミノヤチの町営グランドも嵩上げするとともに排水を良くして利用度を上げる努力をした方が良いと思います。あれだけの広さがあれば十分利用できますので、さらに埋め立てて広げる必要性は低いと考えます。まして、貴重な自然を破壊することになるのですから、よく考えていただきたいと思います。
副区長
松原区はリエックスもありお金があるので現在は区の運営は心配ないが、世代交代して行く中では将来が心配である。観光、観光というが、お客はごみを落としてゆくだけで区のためになっていない。松原区は観光で生きて行くかどうかわからない。ワミノヤチ自然園は現状では区のために役に立たない。
区長
自然を大切にすることはわかるが、農地はもうないし、観光のためには平坦な土地が必要だ。したがってワミノヤチ自然園は埋め立てて土地利用を図ることが必要である。
組長
ワミノヤチ自然園を現状のままおいても人が入らないのではないか。われわれもマムシがいるから入るなと言っている。谷地は入ってはいけない場所とのイメージを持っている。このような現状を考えると埋め立てて利用したほうが区の利益になると思う。
要望者
町も財政が豊かではありませんので、お金を投入して桟橋を作り遊歩道にするということは困難であると思います。したがって、小海町の花と緑を育てる会を中心にボランティア活動により、ワミノヤチ自然園を徐々に整備して行きたいと考えております。お金をかけなくてもできることはいろいろあります。松原湖高原の白樺林の下刈りもボランティア活動によりずいぶん進んでおります。
組長
観光を生業としている立場から考えてみると、松原湖周辺へ来るお客から「静かで何もないところが良い」「開発されないでそのまま自然が残っているから良い」との感想を良く耳にします。今、要望者の意見を聞くにつけ、目的と利用計画が明確にあれば別ですが、そうでなければ、今のまま継続して残しておいた方が良いと思う。現時点では埋め立てに反対です。
副区長
前回の会議でなぜ埋め立て反対との意見を言わなかったのか。何で今日は反対と言うのか。お前が反対しても、多数決で決めて埋め立てを実施するから問題ない。
組長
やはりよく考えてみる必要があると思う。
区長
これから決めてゆくので区民がよく考えなければならない。8月25日佐久地方事務所が松原区へ来て説明会を開催する。
要望者
我々も出席させていただけませんか。
副区長
皆さんは松原区民ではないので出席することはできません。