ワミノヤチ自然園埋め立て計画

7月13日のブログにワミノヤチ自然園の埋め立てについて紹介しましたが、7月20日午後4時から5時30分まで役場にて町長、教育長、産業建設課長、生涯学習課長と町の各種団体有志15名が意見交換会を行いました。各種団体からの要望書と町と有志の皆さんとの意見交換会の概要をご紹介いたします。
役場の皆さん(右から小山課長、井上教育長、新井町長、小池課長)

有志の皆さん


当日町へ提出した要望書
                      平成23年7月20日

小海町長
新井 寿一 様

                    小海町の花と緑を育てる会
                    小海町文化財調査委員会
                    NPO法人じろ倶楽部
                    ゆうきちゃんくらぶ
                    小海フィンランド協会
                    小海町内外有志一同

   中部横断自動車道工事の残土による埋め立てについて(要望)

拝啓
 盛夏の候、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素は何かとご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、中部横断自動車道の残土を利用して松原湖高原の町営グランドとワミノヤチ自然園などを埋め立てる計画が進んでいると聞いております。ワミノヤチ自然園は希少な谷地でハンノキ群落を中心とする沼沢林が形成され野鳥の宝庫となり、湧水が流れ多様な昆虫も見られます。また、生物多様性の観点からも貴重な自然園であると思います。
 つきましては、ワミノヤチ自然園の埋め立ては決して実施しないよう要望いたします。そして、町内外の多くの皆さんが散策できるよう中長期的、段階的に整備していただきますよう要望いたします。
 なお、町営グランドの埋め立てにつきましては、八ヶ岳ビューロードの直下でもありますので景観を損なわないよう配慮されますようお願い申し上げます。
他に埋め立てがあるとするならば、そのために土砂災害などを惹起しないような配慮も合わせてお願い申し上げます
敬具

添付:長野県レッド・データ・ブック抜粋
長野県版レッドリスト(植物群落編) 単一群落
群系      
群落複合タイプ
1〜69のうち小海町該当分は29番目
29:沼沢林
群落名:ハンノキーヌマガヤ群落
市町村:小海町
地名:松原高原
①保護対策の緊急性:2
②保護管理状態:2 
③特異性・分布特性:2
④群落の希少性:2
評価点合計:8
総合評価:B
各項目の基準
①2点 対策必要、対策を講じなければ群落の状態が徐々に悪化する
②2点 不良、保全状態が必ずしも良くないが、保護回復活動が行われている
③2点 群落の分布限界付近や隔離もしくは局所的に分布するか、もしくは絶滅危惧    植物を含む群落
④2点 日本国内では広域に分布するが、長野県内では限定される群落
Bランク 評価基準1〜4の評価得点の合計が7〜9点
     植物群落保護上の重要性の高いもの


7月20日、町と有志の皆さんとの意見交換会の概要

                      平成23年7月22日
    中部横断自動車道工事の残土による埋め立て(要望)に対する
    会議内容の概要

日時:平成23年7月20日(水)16:00〜17:30
場所:小海町役場中会議室
出席者:
小海町 新井寿一町長、井上正隆教育長、小山雄二産業建設課長、
    小池今朝敏生涯学習課長 計4名
要望者 宿岩善人、篠原栄偉、鷹野満弥太、浅沼佐一、中尾博人、西谷健二、 有山
至、有山敬子、篠原秀一、井出薫、的埜大介、的埜美香子、井出勝彦、      篠原富和、小池民夫 計15名

会議の概要
1.要望者から添付要望書に沿って説明し、ワミノヤチ自然園の埋め立ては実施しないよう要望した。

2.新井町長の挨拶;これから測量を実施する。皆さんの意見を尊重しつつ判断し、議会の承認を得たい。貴重な動植物があれば避けるべきと考える。

3.意見交換(Qは要望者、Aは町長、または担当課長)
Q 残土を利用すれば小海町に交付税など何らかのメリットがあるのか?
A ない
Q 土地所有者が了解すれば何でもできるのか。町の景観、自然保護は町の義務ではないか。
A 生涯学習課長が宿岩さんに説明し、地権者が了解するならやむを得ないとの意見をいただいた。
Q そのような意見を述べたことはない。
Q ワミノヤチ自然園は保安林に指定されているのではないか。
Q 松原湖周辺の景観がこのところ損なわれつつある。湿原は一度失われると復元は不可能で絶滅する。
Q 私は湿原に2反歩程の土地があり、約40年前には湿原にモウセンゴケ、サギソウ、イモリなどが生息していたが、当時、あまり関心がなく、残土を利用して埋め立て畑にした。いま考えると大変後悔している。一度失うと永久に戻らず絶滅することに身をもって体験した。区の役員に問い合わせたが、まだ具体的になっていないとの回答で9月以降だとのことだった。
A 国(長野国道事務所)から町へ話があり、町から区へ説明した。
Q 松原湖周辺はシナノアキギリの原生地、マツバラソウなど植物学者は貴重な場所と認識している。また、長野県のレッド・データ・ブックでワミノヤチは「ハンノキーヌマガヤ群落」として「総合評価B」で、「貴重な植物を含み、人里に接する低地の湿性林として希少な群落である」としている。
A さりながら測量はこの際実施したい。
Q 小海町の花と緑を育てる会は2009年、ワミノヤチを調査した。温泉の源泉を流すため掘り下げたため変化してきている。埋め戻して昔の湿原に戻した方が良い。温泉の施設建設のため作業道を作ったが、その際の倒木が放置されたままで見苦しい。
Q ワミノヤチ自然園を実地見学して見たが、魅力的で町の財産である。今回の埋め立て計画については町の姿勢が問われている。環境保護、自然保護に対する町の熱い思いが必要である。
A 区へこの計画を話したら、ワミノヤチ自然園は諏方神社、上下二座の所有地なので神社へ話してくれということでした。
Q ワミノヤチ自然園は保安林ですか、何林ですか。
A わからないので調べてみます。
Q 国の事業では必ず環境アセスメントをする。それも春夏秋冬、1〜3年程度実施するが、今回の計画ではアセスはないのですか。
A 知識がないのでわかりません。調べてみます。
Q 環境アセスの仕事をしているが、グランドが対象となるかどうかわかりませんが、林は対象となるはずです。
Q ワミノヤチ自然園入り口付近はK社さんの所有地のようで、資材やいろいろなものが置かれており、しかも、立ち入り禁止と表示してあるので、ワミノヤチ自然園へ入ることを躊躇する感じです。この点について町に善処していただきたい。7月25日に小石川植物園の木内先生がワミノヤチ、シナノアキギリなどの視察のため来町しますので、町からどなたか参加されたら良いと思います。
A 未だ調査するという段階でもないので参加することは見合わせたい。
Q そういう意味ではありません。せっかく著名な先生が来町されるのですから、参加していろいろ教えていただいたらいかがですか、という意味です。
A それなら参加します。生涯学習課長が出ます。
Q K社さんの名前が出ましたのでついでに別荘地の問題について質問いたします。西10番当たりの2区画にバーべ―キュウハウスを建築し、松原湖高原線と1本北側の別荘地道路を約3メートルの道路を開き、ほとんどの木を伐採しました。別荘地利用者は静かで豊かな自然を求めており、管理規定にもそのようなことが書いてありますが、K社さんの工事はこの規則に反するのではないでしょうか。
Q 西11番のTさんから連絡があり、突然隣地で工事が始まり、しかも境界線ぎりぎりまで道路を作り、木を伐採しており、別荘地の景観を損ねるとともに静かな環境が失われるのではないかと危惧している、とのことでした。町長は現場を視察されましたか。
A 未だ見ておりません。
A 埋め立てて欲しいという方もおりますので、そういう方の意見も聞かなければなりません。町は公平公正に進めなければなりません。今の段階でやるともやらないとも言えないのです。
Q このような重大な事項について、いろいろな意見を聞くことは大切ですが、環境保護、自然保護の観点で町の姿勢、方針が問われているのです。こういう時こそ町長はリーダーシップを発揮して、ワミノヤチ自然園を保全するとの姿勢を明確にしていただきたい。
Q 町の課長や町長へいろいろ提案や意見を述べても聞き置くだけで、取り上げたり、検討したりしていただけないのが実情です。もっと一つ一つ真剣に検討していただきたい。
Q 90分という長時間にわたり忌憚のない意見交換ができましたことに感謝申し上げます。町長の自然保護、環境保護に対する強いリーダーシップをお願いし閉会とさせていただきます。ありがとうございました。